今日もインド人風コスプレでブログを書くカレーパフォーマー加藤です。
はじめてスパイスを使ったカレー作りにチャレンジしたい人から
「スパイスからカレーを作るのは難しそう」
「たくさんあって迷う。どう使うのかもよくわからない」
「カレーを作るためだけに何種類も買うのは大変」
という声をよく聞きます。
そのような悩みをお持ちのスパイス初心者におすすめしたいのが2019年5月に出版された "流しのカレー屋" 阿部 由希奈さんのレシピ本です。
スパイスでおいしくなる and CURRY のカレーレッスン (立東舎 料理の本棚)
- 作者: 阿部由希奈
- 出版社/メーカー: 立東舎
- 発売日: 2019/05/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この本はスパイスに慣れ親しみ生活に取り入れるための和食アレンジ術やはじめてでも失敗せずに作れるカレーレシピが紹介されているので入門書として最適です。
読者がスパイスと向き合ううえでの心理的ハードルをさげる(キャプテン翼風に言うと「スパイスはともだち」と思える)ことに注力されている点や、スパイスカレーは自由に作ってもいいんだとアレンジを肯定してくれる点が素敵だなと個人的に感じます。
今回は本書を読んだ感想とスパイス初心者にこの本をおすすめしたい理由をまとめました。
著者の阿部 由希奈さんが3分でわかる説明
阿部さんと直接お会いしたことがないため、ネットで調査した情報をまとめました。
本名:阿部 由希奈(あべ ゆきな)さん
フリーの人事担当、フリーのウェブ制作ディレクター、流しのカレー屋(イベントや間借りでカレーを振舞う)の三足の草鞋を履く。
流しのカレー屋としての屋号が「and CURRY」。
以前、下北沢にある「カレーの惑星」で週に3日カレーを作っていた。
東京都世田谷区(最寄り:代田橋駅)にあるkitchen and CURRYのキッチン開放日には阿部さんのオリジナルカレーが食べられる。
SNS:Twitter / Facebook / Instagram
取材記事:カレーときどき村田倫子 #31 and CURRY
気づけば「好きなこと」が大きな仕事になっていた 流しのカレー屋・阿部由希奈さんの“つながり”の記録
前代未聞!? 週に2日だけ「流しのカレー屋」のキッチンで絶品カレーが味わえる!
注意:インドカレーの教科書ではありません
スパイスから作るカレーの代表格といればインドカレーです。
そのためこの本ではインドカレーのレシピが紹介されていると誤解される人がいるかもしれませんが、インドカレーのレシピや調理方法を紹介する教科書ではありません。注意してください。
ここをあらかじめ理解しないと「インドではそのような作り方はしない」「(チキンカレーを作るとき)水の代わりにかつおだしを使うなんて邪道」「なぜビーフカレーのレシピが紹介されているのか」などとこの本の価値や本質とかけ離れた感想を抱く可能性があります。
本場インドカレーの正しい作り方を知りたい人はこの本を読んではいけません。香取 薫さんや渡辺 玲さんの本を読むか、インド料理教室に行きましょう。
【東京・神奈川】スパイスカレー初心者におすすめのインド料理教室7選
「and CURRYのカレーレッスン」の魅力
スパイスを生活に取り入れるための和食アレンジ術
日本人の多くは(カレーマニア以外)スパイスを日常的に使うことがありません。そのため「スパイスを使って調理すること」自体が大きなハードルになります。
そのうえカレーを作るためには少なくても3種類程度のスパイスが必要となり、それぞれ名前も役割(香りづけ・色味づけ・辛みづけ)も違います。
また、ホール(粒)かパウダー(粉)かで使うタイミングや香りの出し方が変わるなど、初心者にとっては覚えることが多すぎて挫折しそうになることでしょう。
この本ではカレーを作る前のステップとして我々がなじみ深い和食をスパイスでアレンジすることを通じて日常に取り入れつつ慣れ親しむところからはじめる提案をしています。
野菜炒めなどの簡単な料理にたった1種類のスパイスを足すだけでできる点が素敵ですね。
驚きの組み合わせから生まれた激うまカレーレシピ
この本を読んで心にグッときたのがカレーは自由だ!というメッセージと、それが伝わってくる阿部さんのひらめきによって生まれた個性豊かなレシピたちの存在です。その一部をご紹介しましょう。
チョコレート×牛肉
赤ワインとクローブパウダーに漬けた牛肉のカレーにブラックチョコレートを入れてまろやかに。
ミックスベリー×豚ひき肉
豚ひき肉で作るキーマにコクのある生クリームや甘酸っぱいドライベリーを組み合わせた爽やかなカレーです。
コーンポタージュ×キーマ
ホールコーンで作るポタージュとキーマカレーの組み合わせ。
コーンに代えてさつまいもやかぼちゃ、じゃがいもでも作れます。
この他にもキウイや豆腐、ニラ玉が登場
読み進めるほどに「次はどんなカレーと出会えるのかな?」いう興奮とワクワクがとまりませんでした。
書店でこの本を見かけたらぜひ手に取って読んでみてください。私のこの気持ちがわかってもらえるはずです。
はじめてでも失敗せずに作れる親切な解説
それぞれのカレーの材料や作り方、必要な下準備などの情報が丁寧に書いてあり初心者がつまづかないよう配慮がなされています。
カレーは自由で楽しいと思い出せた
スパイスでおいしくなる and CURRY のカレーレッスン (立東舎 料理の本棚)
- 作者: 阿部由希奈
- 出版社/メーカー: 立東舎
- 発売日: 2019/05/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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カレーパフォーマー加藤がはじめてスパイスからカレーを作ったとき、あまりの美味しさと達成感にめちゃくちゃ感動したのを覚えています。
それが原動力となり、様々なレシピを学んでは作ってみたり、隠し味をいれたりと少年のような無垢な心で楽しんでいました。
しかし「それどこ」というサイトに寄稿した記事に対するコメント(はてなブックマーク)によってその気持ちがしぼんでしまいます。
これは市販のルーで作る家庭のカレーに入れるおすすめ隠し味を8種類紹介した記事なのですが「思いつきの工夫は大体失敗する」「結局、隠し味は自己満足でしかない」「こんな妙な隠し味に力を入れるより、真面目にスパイスの勉強したほうが良いと思う。」と書かれていました。
それを見たとき世間はレシピの工夫やアレンジよりも教科書通りの正しさ(どれだけ本場のレシピや調理方法に忠実か)を求めていると感じました。
そのためずっと自分で自分を制限して自由に作るという気持ちを封印してきたのですが、この本を読んだことで阿部さんに背中を押してもらえた気がしますし、あのころの自分を少し取り戻せた気がします。
いつか東京都世田谷区にあるKitchen and CURRYのキッチン開放日にお伺いして、阿部さんに直接御礼を言いたいですね。