今日もインド人風コスプレでブログを書くカレーパフォーマー加藤です。
ブロガーとして活動していたある日、オウンドメディアの編集者から寄稿記事の執筆依頼メールが届きました。
このような依頼ははじめてですしその編集者にはお会いしたことがありません。私のブログを見て声をかけてくださったそうです。
ライターの経験がなく周囲に相談できる先輩がいなかったので、そのときは手探りで打ち合わせや執筆をすすめ、無事納品することができました。
継続的に依頼をいただけているのもこの経験があったからこそです。
今後、私と同じ経験をされたグルメブロガーが初めてライティング案件の依頼をいただいたときのお役に立てるよう、その経験から得た仕事の進め方をマニュアルとしてまとめてみました。
※このエントリーではライティング案件の具体例として、グルメブロガーが依頼をうけやすいオウンドメディアからの寄稿依頼を例に説明します。
ポートフォリオで実績を公開する
自分の経歴、実績、対応が可能な仕事内容、原稿料や納期のイメージなどを紹介するポートフォリオを用意しておくと寄稿をはじめとしたライティング案件の依頼がいただきやすくなります。
そのポートフォリオを作るための方法を3つご紹介しましょう。
ちなみにカレーパフォーマー加藤は実績をサイドバーとお問い合わせページにまとめています。
サイト
フリーライターさんのサイトですが、依頼する側にとって必要な情報が網羅されています。
Twitterのモーメント
自己紹介やこれまでの実績、連絡先などが一目でわかるツイート用意し、それをまとめて作成します。
ゆうこす(元HKTの菅本裕子)さんはモーメントの活用が上手で参考になりますよ。
Instagramのストーリーズ
作品(映像や写真など)をInstagramに投稿している場合、ハイライト機能でストーリーズをTOPにまとめて紹介できます。
塩谷舞さんのが参考になりますよ。
お問い合わせがきたときの対応
オウンドメディアの編集者が寄稿してもらいたいブロガーをみつけたとき、メールやSNS(TwitterのDMなど)、ブログのお問い合わせフォームなどから連絡がきます。
判断のための情報集め
ブロガーに寄稿依頼を頻繁に行っているオウンドメディアであれば、原稿料や納期、文字数、記事の完成イメージなどについてお問い合わせ段階からメールに具体的に記載してくださいます。
しかし、そうではない場合、単純に「○○についての寄稿は可能でしょうか。」とだけしか書いていないお問い合わせメールがくることがありますがそのときは要注意!
その時点で安易に「できます」と答えた結果、「そのテーマで寄稿ができる」ではなく「依頼を引き受けた」という意味に解釈され、自分の想定外の原稿料や納期が後出しで出されて痛い目を見るリスクがあります。
まずは寄稿依頼をくださったことに感謝の気持ちを伝えつつ、以下の内容を確認してから引き受けるか否かをあらためて連絡したい旨を返信すればOKです。
寄稿記事が掲載されるメディア名
依頼主の立場
・オウンドメディアを所有する企業からの依頼なのか
・オウンドメディア運営を委託された編集プロダクションからの依頼なのか
依頼したい記事のイメージ
・過去記事や類似記事があればURLを送付していただく
依頼の範囲
・企画立案から行うのか、決められたテーマに沿った執筆のみか
・原稿執筆の他に、取材、写真撮影、画像のレタッチも行うのか
執筆開始~納品までのスケジュール目安
予算(原稿料、認められる経費)の目安
文字数の目安
ライティング案件の依頼を引き受けるとき
原則24時間以内に返信
引き受けるのであればその旨を早急(原則24時間以内。遅くても3営業日以内)に返信しましょう。
打ち合わせに向けて確認したいこと
打ち合わせの日程・場所・方法(対面かオンラインか)とその際の持ち物を確認しましょう。
※正式に受注するにあたり依頼主の企業と業務委託契約をする必要があり、打ち合わせ時にその書類に記入・押印するための筆記用具や印鑑が必要な場合があります。
ライティング案件の依頼を断るとき
パターン別断りメールテンプレ
原稿料が安すぎる、納期が短すぎる、自分の専門外だ、できるが時間がかかりすぎて面倒など、さまざまな理由から依頼をお断りしたいときがあります。
そのときの一例として、私がメールで使用した断り方をテンプレートとしてまとめました。コピペしても大丈夫ですが、相手や依頼内容に合わせた文になるようアレンジして使うことをおすすめです。
メールの骨子(共通)
株式会社XXXXX
(担当者名) 様
お世話になっております。
(自分の名前)と申します。
この度は、(オウンドメディアの名前)への寄稿に関してお問い合わせくださり誠にありがとうございます。
私のブログをみつけてご連絡をいただけましたこと大変光栄に思います。
(オウンドメディアの名前)の記事を拝見しました。
ご依頼の内容を拝見しましたがとても興味深いものでした。
ここに断り文句を入れる
今回はご要望に沿えず申し訳ございません。
またの機会がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
専門外のときの断り文句
しかし、今回のご依頼は私の専門分野とは少々逸れております。
必要な経験やスキルが不足しており、○○様の期待に沿えずご迷惑をおかけする可能性がありますので、別の専門家にご依頼いただくことをおすすめします。
原稿料が安すぎるときの断り文句
しかし、今回ご提示いただいた金額では、大変申し訳ございませんがお受け致しかねます。
面倒な依頼のときの断り文句
あいにく、別件で○月いっぱいまでスケジュールが埋まっております。
打ち合わせ
寄稿を引き受ける場合、ブロガーに加えて、ブロガーに依頼をくださった編集者とその上司(ディレクターなど)を交えた打ち合わせが設けられます。
私の場合は冒頭で自分自身の経歴や活動内容、寄稿テーマに沿った質問などをいただくのでそれについてお答えする面談のような時間を経て、寄稿内容の説明をうけたのち、私からの質問とそれに対する回答を挟んで業務委託契約締結へと進むことが多いです。
当日までに準備すること
- オウンドメディアの記事とその運営企業のHPを熟読する。
- 編集者の考え方をコンテンツハブというサイトで予習する。
- 自分の寄稿記事の読者層を想定する。
- 自分の強みが生かせて読者層(仮)にマッチする企画案を用意する。
- 指定された持ち物を用意する。
- 自分の名刺と名刺入れを用意する。
打ち合わせ方法は2種類ある
打ち合わせは一般的に対面あるいはオンライン(ウェブ会議)で行われます。
対面の場合
ビジネスマナーを守ろう
仕事の打ち合わせですので、ビジネスマナーに沿ったコミュニケーションや礼儀作法が求められます。
打ち合わせ場所には15分前までに到着し、5分前までに受付(訪問先が企業の場合)をします。スーツまたはオフィスカジュアルなどのフォーマルな格好で臨みましょう。
打ち合わせ場所は2パターンある
私が経験した打ち合わせの場所は(依頼主の企業内の)会議室と(依頼主または私の職場付近の)カフェの2パターンありました。
会議室で打ち合わせを行う場合は以下の内容を事前にメールで確認しておきましょう。
- 訪問先の部署名と連絡先と担当者名
- 到着時の受付方法
例:入口の電話で内線をかける、受付嬢に訪問先と名前を伝えるetc - 到着時の受付手順
例:所定の用紙に訪問先などを記入する、入館証を受け取るetc
オンライン(ウェブ会議)の場合
東京の企業から依頼が来たけど地方在住などの事情がある場合、オンライン(ウェブ会議)での打ち合わせが可能な企業もあります。
オンライン(ウェブ会議)OKの場合はそれぞれの企業で使用しているウェブ会議用ソフトウェアがあるはずなのでそれを教えていただき、事前にパソコンへインストールする必要があります。
打ち合わせ当日に接続失敗しないよう、事前にソフトウェアの操作方法を覚えて接続の予行練習をしておきしょう。
要件のヒアリングをしよう
打ち合わせでブロガー側が確認すべきは、寄稿記事の要件です。
記事のゴールやターゲットを理解し、担当者の期待に応えられるよう、以下の項目について質問を行うとよいでしょう。
- 寄稿先オウンドメディアのコンセプトや読者層
- 寄稿記事のターゲット層
(年齢、性別、職業、家族構成、趣味や生活習慣などを具体的に掘り下げる) - 寄稿のテーマやそれを公開する意図
- 記事に盛り込みたいキーワード
- 依頼主は寄稿記事に何を期待しているのか
(達成したいKPI・読者に与えたい読了感や促したい行動変容など) - 他のブロガーではなく自分に依頼をした理由
- トーン&マナー(文体、表記、表現、段落・改行などのルール)
※参考記事があればURLを教えていただく
納品物と納品方法を確認しよう
納品物
文章
まずは納品すべき記事の文字数の下限と上限を確認しましょう。
次に記事のイメージをすり合わせます。私の場合は以下のパターンがあり、求められている表現や執筆に必要な作業(調理や取材など)が異なりました。
- エッセイ(住んでいる街について)
- カレーのレシピ・隠し味紹介
- 解説記事(北インドと南インドのカレーの違いについて)
画像など
また、記事内の画像についても納品物となります。
画像のレタッチが必要な場合、依頼主側で行うのかブロガー側が行うのかを確認しておきましょう。
納品方法を確認しよう
企業ごとに定めている納品方法がありますので、それを確認しておきましょう。
特に決まっていない場合、ブロガー側から提案するといいでしょう。
私の場合はMicrosoft WordやGoogle ドキュメントをメールに添付して納品したり、オウンドメディアで使用しているCMSに直接入稿(それ用のアカウントを発行していただく)したりしていました。
原稿料を確認しよう
お問い合わせをいただいたときに予算の目安を提示されたことでしょう。
原稿料の金額を改めて確認しましょう。企業やメディアによると思いますが、相場で考えると1記事1万円が一つの目安になります。
そして、原稿料の内訳を確認しておきましょう。参考までに、私の場合は以下のパターンがありました。
- 原稿料を提示(撮影料も含む。経費は別途清算)。
- 原稿料を提示(撮影料も含む。経費は原稿料で賄う)。
- 構成立案料、執筆料、撮影料をそれぞれ提示。
以下の4点も確認を忘れるとすれ違いが起きやすいのできちんと質問しましょう。
- 原稿料の金額は消費税込みなのか消費税別なのか。
- 経費は別途支払われるのか(原稿料の金額に含まれるのか)。
- 入金日はいつか(納品日の翌月末、公開日の翌月末などが考えられる)。
- 銀行口座への振込手数料はどちらが負担するのか。
納期を確認しよう
納期までのスケジュールについて以下の粒度で確認しておくといいでしょう。
明確に決まっていない場合は、寄稿記事の公開予定日から逆算しつつ、執筆に必要な作業量を考慮して編集者に提案することをおすすめします。
- 企画・構成・目次案の提出日
- 最初の原稿の提出日
- 完成品の原稿の提出日(=納期)
- 寄稿記事の公開予定日
業務委託契約を締結しよう
各企業所定のフォーマットがあるはずですので、それを打ち合わせ時に受け取るか郵送で受け取り、記入・押印のうえ提出します。
このときにあわせて、業務委託契約の更新が必要か否かを確認(必要な場合はその時期も)しておくといいでしょう。
原稿の骨子作成
打ち合わせでヒアリングした要件に沿って、記事の企画案や構成案、目次を作成しましょう。ふじじゅんさんのnoteや澤山大輔さんのnoteもあわせて参考にするとスムーズにできるのでおすすめです。
私の場合はこれを編集者に提出して編集部内で了承されたのち、執筆に取りかかりました。
企画立案
私が心掛けたのは以下の2点です
- 32文字以内で記事のコンセプトをまとめる。
- 300文字程度で記事の概要をまとめる。
32文字以内のコンセプトがそのままタイトルになります。
私は過去に家庭のカレーが本格的になる「8つの隠し味」を試してみたというタイトルの記事を寄稿しましたが、タイトルを読むだけで企画内容が伝わると思います。
あとは「どのような目的で」「誰に向けて発信し」「どのような課題を解決するのかまたは読了感や行動変容を促すのか」についての概要を300字程度でまとめました。これが記事の導入(リード文)になります。
構成立案
オウンドメディアの記事は特に指定がない場合、以下のような構成になると思います。
- 記事タイトル
- 画像
- 導入(リード文)
- 見出し1
- 見出し2
- 見出し3
- まとめ(結論や全体の要約)
記事によって見出しの数が異なったり、見出しが階層構造(まず中見出しがきてその下に小見出しがくる)になっていたりします。
寄稿の要件に沿えるよう記事の構成を考えるとともに、企画案から逆算して必要な見出しの個数や内容を考えましょう。
目次案作成
企画立案時に考えたタイトルと導入(リード文)、構成立案で考えた構成を目次としてまとめましょう。
その際、見出しごとの文章の概要(そこで何を書きたいのか編集者に伝わるレベルで簡潔に)とまとめの概要(意図が編集者に伝わるレベルで簡潔に)も付け加えます。
この目次案を編集者に提出したら、決裁権者(寄稿を依頼した編集者より上の予算を握っている人)からのGOがでるまで待ちます。
原稿執筆開始
編集者に提出した目次案が了承されたら原稿の執筆を始めましょう。
また、原稿と一緒にプロフィール文と写真も用意して初稿提出時に一緒に提出しましょう。
出典:それどこ
プロフィール文と写真はこんな感じです。
初稿提出
最初の原稿(初稿)が完成し、それに付随するもの(写真など)が用意できたら打ち合わせ時に指定された方法で提出しましょう。
初稿提出後、編集者は「校正」と「校閲」を行います。そのとき編集者に大きな負担をかけてしまわないよう以下の3つを行なってから提出するのがおすすめです。
トンマナに沿っているかを確認する
トンマナ(トーン&マナー)とは、サイトの文章やデザインに一貫性・統一性をもたせるためのルールを意味する言葉です。
文末表現(です・ます調、だ・である調、会話調など)や表記の統一、タイトル・中見出し・小見出しなどの文字数制限、記事の構成や画像の挿入位置、NG表現などのルールがオウンドメディアごとに存在します。それに沿った記事になっているかを確認しましょう。
編集者からトンマナが指定されていない(好きなように書いてくださいと言われた場合など)ときは過去記事にあわせて表現や構成を組み立て、統一感がでるようにします。
また、ルールではありませんが、オウンドメディアごとのらしさというか空気感(例えばSUUMOタウンなら「エモさ」)や書き手に求めているもの(同じくSUUMOタウンなら「街への熱い思い」)もあるので、それがうまく表現できているかもあわせて確認しましょう。
情報源を明らかにする
編集者が事実確認(原稿内で書かれた固有名詞やデータなどがすべて正しいのかを確認する作業)を行うときのために、それらが正しいことを証明する情報源を明らかにしておくといいでしょう。
原稿内に情報源を注記するとか、記したデータに情報源のURLのリンクを貼る、(原稿内に明記しないが編集者が事実確認しやすいように)別ファイルに情報源をまとめておくなど、トンマナにあわせて明示しておくのがおすすめです。
校正ツールで修正点を洗い出す
原稿内の誤字脱字、表記ゆれ、難解・冗長な表現などを人力で確認するのは大変です。
そこで頼りになるのが校正ツール。自分では気づかなかった修正点も見つかりますし、無料で使えるツールもたくさんあります。誤字脱字などを完璧に検知するわけではないのであくまでも修正点チェックの補助としてお使いください。
個人的なおすすめは日本語校正サポートやオンライン日本語校正補助ツールです(どちらも無料)。
また、有料ですが誤字脱字や重複表現の指摘だけでなく文章表現のアドバイス(料理を食べたときの「おいしい」以外の表現例)や推敲支援(漢字ではなくひらがなにした方がいい箇所や文末表現の修正例を提示)ができる文賢というツールがあります。
職業ライターとしても活躍したい方や原稿料をあげたい方にとって心強い味方になってくれることでしょう。
原稿修正
編集者が原稿の修正点や削除が必要な箇所をフィードバックしてくださいます。また、追加した方がいい内容を指定されることもあります。
それらの反映を行い、再度原稿を提出しましょう。指摘された修正点が原稿にすべて反映されていることを提出前に必ずチェックしてください。
納品
指定された方法で納期までに完成品の原稿とそれに付随するもの(写真など)を納品しましょう。
公開後の拡散
ブログ読者やSNSフォロワーに対して寄稿記事の拡散を積極的に行いましょう。
個人的には初動が成果に直結すると考えているので、公開日(特に公開当初)は特に力を入れて拡散したいです。
確定申告
最寄りの税務署で質問すれば申告方法や必要書類を教えてもらえます。
私の場合は本業がITエンジニアなので雑所得として申告しました。
国税庁の確定申告書等作成コーナーで確定申告用の書類を作成し、原稿料と源泉徴収額をそこに記入して提出すれば完了です。寄稿依頼をくださった企業から支払調書をいただくこともありますが、それは確定申告に必要ありません。
業務委託契約更新
企業によっては1年ごとに業務委託契約を更新する必要があります。
更新の有無について契約締結時に確認しておき、更新が必要な場合はその連絡を見逃さないようにしましょう。
まとめ
私の事例をもとにまとめたので、企業によっては当てはまらない可能性があります。
ライティング案件(特にオウンドメディアへの寄稿)の経験がある方の経験談やまとめにのっていないことに対する質問がありましたら、TwitterでリプライやDMをいただけると嬉しいです。